お父さんのネジ |
死去後にあまれた「漫画ベスト版」で、560ページの大著。
赤瀬川源平と南伸坊の、実際のお葬式で読まれた弔辞。それから嵐山光三郎の追悼文と、「南伸坊、みうらじゅん、リリー・フランキー」による座談会がついている。 渡辺コラムの面白さは、十分に認識している私だが。 漫画のほうは、20代前半に、単行本を1冊くらい読んだのだが、当時は全然ピンとこなかった。(まあ、渡辺は生前に漫画の本は3冊しか出ていないのだが) が、20年後の今、こうして、ドカンとまとめられたものを読み直してみると、素晴らしいこと、素晴らしいこと。傑作の嵐。 「現実体験そのまま」の漫画や、SF的な「奇想天外」漫画まであるが・・。どれも特有の「生々しいリアルさ」に満ち満ちている。 登場人物が、ヤンキーやバイク好き青年(=渡辺)であることが多いので、「文系の本好き少年」だった昔の自分には、駄目だったんだろう。 みうらじゅんや、根本敬の初期作品は、明らかに渡辺和博の影響を受けている。 「毒電波」という題名の、「電波から身を守るため」に、部屋中を覆っている人物が登場する作品まである。 巻末座談会(南伸坊、みうらじゅん、リリー・フランキー)でのみうらじゅんの発言によると、後輩から見ると「怖くて変な人」だったそうだ。みうらじゅんは初対面で「あなた皮かぶっているでしょ」と指摘され、しばらくして渡辺が著書『ホーケー文明のあけぼの』を刊行すると、表紙に長髪の男のイラストがあり、横に「みうら」と書かれていた、そうだ。 また、神足裕司は渡辺から五反田の町中で突然、「チンコ出したら! オレは平気だよ」と命令されたという。 相当変な人だったんだなあ。そういうことをされても、みうらも神足も、渡辺のことが好きだったという。 |
ちょいモテvs.ちょいキモ |
「今世紀最高の危険な本」である。
世界最大の広告代理店の実態から、テレビ局員の乱れっぷり、ITヴェンチャーと税理士の癒着といった、現代「勝ち組」である上流社会の「闇」「暗部」を丁寧に描き込んでいる。 会社紹介図鑑、業界四季報的なショボい書籍では全く分からない日本社会の現実がここにある。 巻末にある、フェルディナント・ヤマグチ氏と渡辺和博氏の対談も凄い。一般的な「下流社会」の問題を、俯瞰ではなく地ベタの例を出してエグっている。 この本を手にとって、読めた人は幸福である。 |
エンスー養成講座 (Ensu bunko) |
エンスーということで、ただのクルマ本ではない。クルマ好きのなかでも特別な趣向の方々を紹介している。なかでもダイムラーベンツ社(今はクライスラー・ベンツでしたっけ)の工作用車輌UNIMOGウニモグの紹介が楽しい。単なるトラックではなく、しかも長年ベンツが製造している、というだけでも興味をそそられる車輌を、一般ユーザーが購入して楽しんでいるというもの。しかも20年以上前の旧型である。写真付きなので、イメージも湧きやすい。日常に飽きがきている車好きのかたにお勧めの一冊といえる。 |