かめくん (徳間デュアル文庫) |
郷愁を漂わせながらも、遠慮と容赦のない世界の鋭利な端っこが見え隠れするゆったりしたSF。作品中の擬音がものすごいチカラを発揮していて、ただのキャベツだったりセロリだったり、かめくんの食べるものすべてがどこかジューシーでお腹が減ります。うまいうまいうまいうまいうまいうまい。 |
どーなつ (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) |
半径五キロメートルのドーム状の物体『爆心地』。 外部から内部を観測することはできず、内部に入った者は記憶を改変されてしまう。 さらに、人工知熊という作業機械。電機熊の腹に入り、神経を接続して操縦する。 この時、前に乗っていた他人の記憶が移入してしまう。 さらには、逃げ出す脳がでてくる。実は人間そっくりの異星人がいる。生体コンピュータに改造されたアメフラシが出てくる。 だが、この「どーなつ」に出てくる登場人物たちは、突き進まない。行動がのほほーんというか、もはやパーソナリティまでのほほーんとしている。 ノスタルジックな世界の中で、曖昧な自己を 曖昧なまま受け入れている。 本当の自分など探さないで癒される奇妙な味の傑作。 |
レイコちゃんと蒲鉾工場 (光文社文庫) |
ナンセンスなのかと思いきや、実に奥深い怖さ。読みながらほくそ笑んでみたり、思わず突っ込んでみたり。北野ワールドのツボは、すごすぎますよ。
今回、解説も良いですね。不可思議な北野ワールドを実に端的に解説しているので、読み解くための絶好のガイドになっています。こんな暑い夏にも、いや夏だからこそ(?)オススメです。 |