SUPER FLIGHT |
後の「MINT JAMS」の「TAKE ME」がベストである人が多いと思うが、私はこれ。このせかせかしたピアノプレイは実は凄い演奏なのではないかと思う。凄い曲を書いたものだ野呂さん! 「朝焼け」も発表された本盤での注目曲は「I LOVE NY」。CM第1弾だが、間奏のベンソンのようなギタープレイは野呂氏の名演5指に入るものであると断言する。パクリみたいだがこういうギターがたった1日のレコーディングで出来るとは・・・。 個人的には「デューン」。この枯れた味わい、泣きまくるギターはカシオペア諸作でも滅多にない逸品である。 |
日本の心を唄う 現代日本歌曲選集 第2集 |
ヴェルディ・レクイエムの「ラクリモーサ」を独唱した際、あまりの絶唱に女声パート全員が涙を流し歌えなかったという逸話を持つ大歌手柳兼子が、老境に入って録音したレコードのCD版である。日本歌曲史の中に埋もれてしまうかと思われたこの録音が21世紀になっても聴ける。生きててよかった。往年の大歌手が声を失った代わりに到達したのは直接こころにとどく孤高の芸術だった。私も涙と共に聴かずにはいられなかった。遠くから聞こえてくる「いずれの日にか国に帰らん」の一節など、嗚咽とでもいおうか、望郷の一念をここまで歌い上げた歌唱を私は知らない。 |
月の砂丘にふたり |
この『月の砂丘にふたり』はインターネット上で掲載されている時から読んでいました。 山口さんの著書の中でも一番、続きが気になって仕方なかった作品です。 書籍化されたと聞いてすぐ買いに行きました。 本を手にした時カバーの絵のウサギが印象的で、迷わず購入しました。 本の匂いをかぎながら(変態?)読んでいると、インターネット上で読んでいたときには感じられなかった主人公の寂しい日々が心にせまってきました。 やっぱり本はいいですね。何度でも感動できます。 |
白い砂丘 |
長野氏はコンサルタントである。普通、コンサルタントの書いた小説は、専門知識をベースにしたエンターテイメントを目指しているのだろうが、小説、経営書のどちらにも中途半端な出来に終わり、退屈で説教臭くなってしまう。
が、この本はちがう。ストーリーの枠組みがしっかりしていて、それでいて新鮮な展開があり、これだけで十分面白い。加えて、主人公も、社長も、対抗する副社長も部下も、別れた妻はもちろん、最後にわずかに登場する元妻の再婚相手までもが魅力的に描かれ、その表現力には舌を巻く。 イエスマンしかいない日本企業を変えようとする主人公の葛藤、ネバダ州の法律をベースにした気になる会社のトリック、米国の伝説のレストランオーナーとの交渉などエピソードは面白くてグイグイ読ませる。タイトルもまたうまい。白い砂丘に誰でも行ってみたくなるはずである。 |
砂丘 [DVD] |
欲望(1966年):ロンドン:POPアート:ヤードバーズ=砂丘(1970年):カリフォルニア:サイケデリック:ピンク・フロイド。ミケランジェロ・アントニオーニの手による2つの英語圏作品は、奇妙な符号の一致を見せている。『欲望』の中では、ストイックなまでの抽象的表現の中に、アントニオーニらしい深遠なメッセージの断片を感じ取ることができたが、はたしてこの『砂丘』においてはどうだろうか。
<ピンク・フロイドとのコラボレーション>というまがまがしいキャッチコピーが付けられた本作品は、『欲望』における完全に形骸化された<ヤードバーズ>の扱いとは異なり、アントニオーニ独特の世界観が<ピンク・フロイド>という個性に完全に侵食されてしまっている。まるで昔の<ピンク・フロイド>のミュージック・ビデオを見ているかのような陳腐なラストシーンが、アントニオーニ的な普遍性をないがしろにしているのは間違いない。撮影中、両者が反目し合ったという事実も大いにうなずける。 『猿の惑星』のロケ地として有名な<ザブリスキー・ポイント(原題)>における男女の絡みは、この映画の中で唯一アントニオーニらしいメッセージ性を感じる。「排除しなければ先へ進めないのか」資本主義に対する究極の命題を観客につきつけた後、まるで原始時代の類人猿のように砂まみれになってフリーSEXにふける若者たちを映し出す。学生運動の集団にも溶け込めず、かといって体制に尻尾をふることもできないマークは、まるでどこか別の惑星を思わせるこの<ザブリスキー・ポイント>を「自分に似ている」と恋人に語るのだった。 |