禍記 (角川ホラー文庫) |
読後の私見。
この本を読まれるときはまずあとがきの、 伝奇原理主義宣言を読まれることをおすすめします。 特にネタバレもないし、このあとがきを読んでおくことで、 作者の作品への意図がよくわかるとおもいます。 短編と表題の禍記の関係をこじつけるにしろ、 もう少しうまくこじつけられればいい作品になったかもしれません。 |
水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫) |
無理な理屈付けがあろうと、これだけ読ませる力作であれば十分でしょう。
何よりも楽しかったのは、古代史のしかも古事記、日本書紀と言った伝説の時代をモチーフに、伊邪那美が復活すると言う話で、これに蛇神伝説(信仰)が絡み、様々な断片的な知識が結び付けられて、納得させられてしまいます。その結果として、「水」に現代社会の弱点を指摘してゆくと言う形を取っています。「水」が汚染された時の怖さをつくづく感じさせられました。 それにしても、600ページを超える長編なのに、一気に読んでしまいました。このあたりは、この作者の筆力なのでしょう。 |