田中角栄の真実―弁護人から見たロッキード事件 |
田中角栄といえばロッキード事件と連想するほど、政治家田中角栄は「金権政治家」のレッテルを貼られている。金の力で成り上がった、仕事は出来るが傲慢な男という感じだろうか。 この本を読む前は、弁護人の苦しい弁明が書き連なっていると思っていた。しかし、読むにつれ 「田中角栄の真実」いや「ロッキード裁判の真実」が見えてくるのだ。立花隆氏の分厚いロッキード本との違いは、この本には、憶測がほとんど書かれていないということであろう。一人の天才政治家が国家権力に蹂躙されていく様子は、異様というほかない。 中世の魔女裁判は、初めに有罪ありきであった。このような裁判が、現代、しかも元総理に行われた事実に愕然とする。「なぜ見も知らぬコーチャンという男の証言のために被告席に座らされ、何一つ抗弁を許されないまま、有罪判決を受けなければならないのか」という悲痛な言葉がこの裁判の本質を表している。 虚像のみが報じられ、事実を歪めるマスコミ。何らかの力が働くとでっち上げに近いことをして罪をきせる日本の司法。もう一度、ロッキード裁判を徹底検証することにより日本の病巣が見えてくるような気がする。 |
異形の将軍―田中角栄の生涯〈上〉 (幻冬舎文庫) |
数ある角栄論をうまくまとめてはいるものの、著者自身の独自の視点に欠け、面白みがない。角栄の元秘書、早坂茂三の本の方が読ませる。角栄に関する概要を手早く知るとともに、角栄に関するどのような参考文献があるかを知るための手がかりには有効かもしれない。 |