Flying Queen
乱れからくり [DVD] |
妖艶な篠ひろ子、今より老けてる野際陽子、警部役の田中邦衛など
キャストは充実。松田優作もテレビの「探偵物語」の延長線の飄々 とした探偵ぶりで面白い。しかし最大の問題点は、あのべらぼうに 面白い原作の肝とも言うべき犯人の設定を改悪しているところ。 当時の「横溝ブーム」に便乗した企画だが脚本の永原秀一にミステリ 心が無かったのが残念。 |
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫) |
一般にこのタイプのミステリは、結局は最後にプロットをもう一ひねりしてさらに意外性を出した、という程度の意義しかないことが多いと思うのだが、この作品は、この手の先駆けであるとともに意義も実現のための労力もまさに別格。この構造のためにはストーリーも限定しなければならないわけで(限定しないと必然性がなくなってしまう)、話自体を地味にしてまで、こんなアイディアをよくも実行してくれたものである。その勇気と実行力・忍耐力には敬服の他ない。
種明かしされる前にこの構造に気がついた時には、ほとんど『占星術殺人事件』で真相を見抜いた瞬間の御手洗潔状態になりそうだった。読んでいる途中で家族に見せてしまったのだが、あまりに粗雑なままであったのが悔やまれる。 |
煙の殺意 (創元推理文庫) |
落語の名人が語る噺の旨味と、トリッキーな仕掛けの妙が味わえるミステリー短編集です。 抑制の利いた文章のたたずまい。 収録された八つの短編のなかでも、直木賞候補作となった「椛山訪雪図」、花見の季節の公園を舞台にした「紳士の園」、殺人事件の現場でデパート火災を中継したテレビを見ながら事の真相に至る刑事の話「煙の殺意」の三編の出来映えが素晴らしく、これは!と唸らされました。 とりわけ、「椛山訪雪図」の話の風情が素晴らしい。読むのは今回が三度目くらいになるのかな。しみじみ、このミステリーは良いなあと魅了されました。 |
亜愛一郎の逃亡 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) |
気弱なカメラマンだが事件が起こればたちまちにして解決してしまう、謎の青年・亜愛一郎(ア・アイイチロウ)。虫だの珍しい雲だのばかり撮っている地味地味カメラマンだが、カメラマンのくせにファッションは常にパリッとした一流品で恐ろしく美形。そして格闘になれば何故かバカ強く、一体どこの誰なのかもわからない。 魅力的なキャラクターだが残念なことに「狼狽」「転倒」そしてこの「逃亡」の三部作で終了。 |