『欲望という名の電車をラップにしようとする男の害について』1/2
欲望という名の電車〈オリジナル・ディレクターズカット〉 [VHS] |
テネシー・ウイリアムズの名作をエリア・カザンが映画化した名作中の名作。主人公のブランチをヴィヴィアン・リーが扮している。ヴィヴィアン・リーは、「風邪と共に去りぬ」に続いて二度目のオスカー。美貌のヴィヴィアン・リーの狂気と正気の境目を泳ぐような演技がゾクッとするほどリアル。彼女と同居し、ソリの合わない妹の夫を演じるのがマーロン・ブラント。粗暴でありながら性的な魅力をあわせもつ男。奥歯を噛み締めるような独特の喋り方などマーロン・ブラントならではの存在感。 この映画の良さは、文学性を損なうことなく映像化されている点にあると思う。出演者の目の動き、視線の交差、声の強弱を積み重ねて、点と点が結びつき、物語が一つの方向に動いてゆく。そして、観るものは、自らの記憶と絡み合って「欲望という名の電車」を体験する。2時間を超える作品であり、モノクロ、現在のSFXなどもない作りだが、俳優の名演と監督の演出によって見るものを圧倒する。映画のお好きな方にとっては一度は観ておくべき作品。 |
欲望という名の電車 [DVD] |
何もかもなくしてもまだ痛ましい空回りを続ける彼女から、その虚構を容赦なくむしり取り、剥き出しの現実を暴く獣のような男。この二人の、本物の殺意と憎悪さえ伝わってくるような迫真の演技、ぞっとするほど恐ろしい。 間に入って苦しむ、良識ある妹の哀しいほどの優しさもいい。 この、過去に生きる女ブランチを見て、現在30代の私が思い出すのは、バブル全盛時代に就職した人達と共に仕事をした13年前の新人時代。リストラされ50代で契約社員になった年輩の人が「自分は数年前まで毎日億単位の金を動かしていたホワイトカラーだったのに」と虚ろな目で過去を語り、乱暴で野蛮なブルーカラー職で契約社員をしている今の自分が見えないという表情だった。氷河期でその荒んだ世界にもやっとの思いで潜り込んだ私には、いつまでも昔の夢を見ている彼等は、ブランチみたいに哀れに見えた。いい思い出がありすぎるって、残酷なことなのかもしれない。 |
欲望という名の電車 オリジナル・ディレクターズカット [DVD] |
自分的には1951年のベスト・ピクチャーです。
(同年のアカデミー作品賞は「巴里のアメリカ人」でしたが...。) 何といっても配役が超一流ばかりです。 ご存じ、ヴィヴィアン・リーやマーロン・ブランド、キム・ハンターや個性派のカール・マルデンなど、 内容の重さは別にして、見ていてとても安心です。 特にマーロン・ブランドをゴッド・ファーザーでしか知らない人には是非見てほしいです。 ちなみに彼はこの作品で初めて、日本に紹介されたそうです。 若き日のこういった役柄があったからこそ、あのドン・コルレオーネの名演があったのだとうなずけることでしょう。 ニューオリンズが舞台になっていますが、ジャズバンドの演奏があちこちで聞こえる以外に、 当時の南部の乱れぶり(酒、貧困、カード遊び、性など)がうまく描かれています。 本商品はディレクターズカット版なので、公開当時にカットされていた性的表現や会話などが再現されています。(他の500円くらいの廉価版はどうかわかりませんが。) その変更点がどのあたりなのかもメニュー内のプロダクション・ノートから確認できるようになっています。 色々書きましたが、この作品がこの値段...。お買い得としかいいようがありません。 |
欲望という名の電車 [DVD] |
とにかくマーロンブランドとビビアン・リーの切れっぷりが凄い。いかれた女と凶暴な男を見事に演じきっています。こんなの滅多に見られませんよ。人間の暗部を描いた名作です。 |
欲望という名の電車 (新潮文庫) |
この戯曲はアメリカを代表する劇作家のひとり、テネシー・ウィリアムズのもっとも有名な戯曲で、
アメリカやイギリスの有名俳優たちが代々ブランチとスタンリーを演じている。 どうしても映画のビビアン・リーとマーロン・ブランドのイメージが強いが 最近ではジェシカ・ラングが舞台で演じたブランチが評判だったらしい。 若さも経済的基盤も失い、孤立無援の立場に追い込まれながらも 南部の誇りと華やかな過去にすがりつく繊細な心の持ち主、ブランチ。 それに対して野卑だがタフで現実的な生命力の塊、スタンリー。 「ガラスの動物園」では、はかない夢に逃れようとする人間に対する同情的な視線があったが、 ここで描かれるブランチ対スタンリーの戦いは遥かに容赦がなく、ブランチは完膚なきまでに敗北する。 テネシー・ウィリアムズ自身、ブランチとスタンリーの両面を兼ね備えていたからこれほど迫真的な描写ができたのだろう。 デリケートで優しい心を持ちつつも、荒々しい現実に敗れ去り、ついには狂気に陥った ブランチの姿は哀れを誘うが、最後の場面での彼女は不思議な威厳に満ちている。 舞台となったニューオーリンズのけだるい熱気がそのまま伝わってくるような名戯曲。 |
欲望という名の電車 (新潮文庫) |
ヴィヴィアン・リー主演のこの映画を観て感銘を受けたので、是非、本でも読んでみたいと思い、借りた。多少映画と違い、省かれていた部分もあるものの、映画の感動をそのまま感じることが出来た。ただ、とても古い本だったので、漢字の読みにくいところが結構あり、その点は残念だったが、今度は、新しい本で読んでみたいと思った。 |