親分はイエス様 [DVD] |
冒頭の暴力団の抗争シーンを見ると、Vシネマにありがちなありきたりのストーリーを一瞬連想させられるが、主人公のイエス・キリストとの”出会い”のくだりから、涙あり笑いありの人間ドラマへと移っていく。日本人のキャストがコワモテ系で韓国人のキャストが善人達ばかりという点には、大人の事情を感じるが作品的には大正解と考える。特に主人公の勇次の妻の母親が、潜伏していた大阪から帰ってきた勇次と初対面となった時にかけた言葉が秀逸。私はこの言葉を聴いた瞬間涙が一気にフィーバー確変モードに突入した。ちなみにこの母親の台詞のシーンはクライマックスの韓国シーンでもあるが、こちらは別の意味で私はお気に入りである。宗教に興味がない人もこの映画はお勧めしたい。 |
親分はイエス様 [VHS] |
映画上映当初から気にはなっていたものの、鑑賞の機会に恵まれず時が経ち先日ようやく鑑賞にこぎつけましたが、期待以上の出来で大変大きな感銘を受けました。純愛と信仰という非常に分かりやすいテーマでかつ現代日本社会では受け入れられにくいテーマを、これほど美しく作品化した邦画はかつて無かったのではないでしょうか。すでに信仰をお持ちの方、或いは人生をやり直したいがきっかけがつかめない、そんな貴方に是非お薦めします! |
Wの悲劇 [DVD] |
大昔にTVで観て印象に残っていた映画。今観てもとてもいいです。脚本は原作を劇中劇に使ってうまく構成されてる。薬師丸ひろ子もうまいとは言わないけどいい味出してます。ただ演劇が好きで好きで劇団に入った、でも別に野心家でもない女の子。単純な役欲しさからつい汚い相談に引き込まれてしまう。これはあんまり達者な人が演じるよりよかったと思う。この頃の薬師丸ひろ子が演じると、なんかいかにもぼーっとした世間知らずの感じになって、主人公をあまり汚く見せない。単純で愚かで、劇中劇のテーマ「女たちの哀しさ」にもつながる。でもゲンナリするような大袈裟なドロドロの哀れじゃないし、適度で、しんみりくる。ラストシーンの主人公の表情はとてもよかった。歌は名曲です。 |
Wの悲劇 廉価(期間限定) [DVD] |
女優の座をめぐる熾烈な舞台。そのドラマは、現実と部隊が重なって妙味を与えてくれます。今見ると薬師丸ひろ子も若いですが、映像の中での現実の芸能レポーターも若々しい。
舞台のラストシーンは、一場面だけでも胸にこみあげて来るものがありますね。これも、薬師丸ひろ子の演技からくるものでしょうか。笑って別れる薬師丸のセリフに、拍手を贈る世良。プロに徹する女優の厳しい姿を感じて、涙が溢れてしまいました。 今や大女優となった薬師丸ひろ子の初期作品で、彼女のために作られた映画ですが、今でも見応えがあります。 |
腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫) |
有名な小説家、夏樹静子さんが、腰痛の苦しみとそれが治癒するまでの遍歴を、ご本人の日記形式でリアルタイムで描写されています。
最終的には、痛みの原因は以外にも「心理的要因」である事がわかり、ある心理療法家の治療により治っていくのですが、そのスリリングな筆致は苦しまれた当人だからこその迫力がありました。 「治癒した今でも心理的要因だったとは納得できないほどの痛みだった」という症状には、読者もまさに「こわい」と思わされるようなものでした。 抑圧された感情が、身体にブロックをつくる、という概念は、現在アメリカの心身医学界で大きな潮流として認められており、そのような視点で書かれた医療書も、多く見られるようになりました。サーノの「ヒーリング・バックペイン」をはじめ、ピーター・リヴァインの「心と身体をつなぐトラウマセラピー」や、マインドフルネスを提唱した各種の本には、「気づき」による心身両側面の治癒の例が掲載されており、大変興味深いのですが、本書は、稀有な文章力と客観性を持つ作家という職業者が、「患者からの詳細なレポート」をものにされたという点で、大変貴重だと思います。 とにかく、読み物として大変おもしろいので、おすすめしたいです。 腰痛に悩む方はもちろん、心身相関(一体)的なセラピーに興味をお持ちの方も、ぜひ一読されると理解がますかと思います。 |
椅子がこわい―私の腰痛放浪記 |
私は民間病院に勤務する、無名の勤務医です。
多方面の検査では異常は見あたらないのに、腰痛や背部痛を訴える方に、頻回に遭遇します。 その痛みは激烈であり、時には痛みの部位が移動したりするのが特徴です。 老若男女を問わず、患者さんの数は非常に多いです。 非常に多い、という事を、特に強調したいです。 私は、本書を読んで、少々もどかしく感じました。 著者は、ご自分に合った治療法に巡り会うまで、随分遠回りをされました。 各界で名医と称される多くの医師や治療者の診療をはじめ、話が「霊」にまで到達しているのには、少々驚きました。 私なら、こういう場合は、心理的側面を重視し、懇意の臨床心理士の先生に、まず相談します。 経験から言って、時間は少しかかりますが、その方向の適した治療法の紹介で、たいていは劇的に症状が改善します。 問題は、この、心理的側面の可能性の問題を、患者さんに説明しても、なかなか信じてくれない事です。 そういう意味で、本書が世間に与えた啓蒙は大きいです。 本書では触れられていませんが、最近は、激烈な腰痛を訴えるニートの若者も激増しているとも感じます。 本書の登場以来「信じてくれる」患者さんが増えました。 信じてくれない方には、本書の一読をお勧めしているのですが、目から鱗だという反応が得られる事も多いです。 こういうケースでは、私の様な、無名の勤務医の言葉は重くはないです。 「劇場のイドラ」かも知れませんが、著者のネームバリューの持つ力は大きいです。 本書は殊の外壮絶です。 |