何でも見てやろう (講談社文庫 お 3-5) |
著者が逝去され、著書を読んだことがなかったのであわてて「この一冊」と言えるものを探した結果、
『何でも見てやろう』を見つけた、いわばミーハー男です。 「一日一ドル」という旅が、今で言うとどのくらいなのかちょっと見当がつかなかったのが、残念と 言えば残念ですが、それでこの本の面白さが損なわれるわけではありません。 また「差別用語では?」と思われる単語がバンバン出てきて、著者のお人柄と当時の時代背景がよく 分かります。 どこの国でもすぐにとけ込み、親しい友人をもうけまくった様子がこれまた痛快。 ちょうと村上春樹氏の『遠い太鼓』を読んだ直後で、今風の満ち足りた旅と、三昔くらい前の超貧乏旅行の 対比がこれまた面白く、でもそれでいて著者がそれぞれ接した国々の人々の特徴はあまり変わっていない ような印象です。 一流の作家による旅行記は文句なしに面白い、ということがこれでまた一段と確信できる一冊でした。 |