夫婦善哉 [DVD] |
甲斐性なしのボン柳吉の凸と凹に
芸妓あがりの蝶子の凹と凸がうまい具合にはまり 互いに相手の欠落を補いながら 寄り添い合って生きていく二人 何かを得ては失うから 何ら前進しない もがいたり足掻いたりしながら 結局また同じところに戻る その停滞感がいい 設定、筋いずれも古典的で目新しさに欠けるが 日本人の心の線に的確に触れてくる 新しくはないが面白い これは凄いことではないか |
わが町 [DVD] |
幾多の不幸に挫けず豪快に活きる。
死ぬまで体で懸命に働く。 ベンゲットのターやん。 わが町、大阪風情は、ほのぼの人情。 辰巳柳太郎、南田洋子の熱演は、見事の一言。 ラストの微妙な展開は、様々な感慨を呼ぶ。 明治の気概、日本人の気概は、何処へ向かうのだろうか。 |
夫婦善哉 (新潮文庫) |
法善寺横丁で火事があった。一時はどうなるかと心配していたが、現在はほぼ復興したようだ。その法善寺横丁にこの「夫婦善哉」の店がある。甘党なら一度くらい行ってみても良いのではないか。 あと、千日前には作中に出てくるカレー屋「自由軒」がある。ここでは、柳吉が食した「名物カレー」が食べることができる。 さて、内容に関してはすでに、詳しいレビューがあるので詳しくは触れないが、蝶子と柳吉の二人の生活を描くに当たり、オダサクは様々な商売を持ち出してくる。読んでいる内に、オダサクは当時の大阪で見られた商売を紹介したいだけなのではないかと思える程である。「夫婦善哉」を読んで当時の大阪を心に思い描き、現在の大阪(ミナミ)にその姿を見い出しながら歩くのも、楽しいと思う! |
世相・競馬 (講談社文芸文庫) |
織田作之助の作品を読むのは、これが初めてでした。
映画「秋深き」の原作と言うことで読み始めました。 九作品が収められたこの短編集の巻頭を飾るのは、芥川賞の候補作になった「俗臭」です。ここには、成金生活のあくどい裏面が描かれています。 映画の原作になるのは、「秋深き」と「競馬」です。 「秋深き」は、療養に行った温泉宿の隣室の夫婦の姿を描いた作品です。 「競馬」は、やっと一緒になった妻の看病に追われる中で届いた妻への手紙に嫉妬する夫の姿が書かれています。 その他には、「聴雨」「道」「蛍」「世相」「四月馬鹿」「大阪論」が所収されています。 全体的には頽廃的な臭いが強くしますが、それだけでなく郷愁的な雰囲気もあり、描かれている登場人物は非常に人間くさいものがあります。 このあたりは、作者の「デカダンス」」感にあるように思われます。 作者は言います。「デカダンスというと、頽廃のことだと、ひとは思っているらしいが、・・・デカダンスというのは、あらゆる未熟な思想からの自由という意味だ。」 頽廃的なものの中にある純粋な何かを掴み取ろうとした、そんな作品のような気がします。 |
織田作之助 (ちくま日本文学全集) |
出世作「夫婦善哉」を読むと夫婦には子どもなど不要なことが わかりますな。 なんやかやと子どもはうっとうしい。 もっと言えば夫婦になる必要もない。 戸籍も必要ない。 これから晩婚化がもっと進みますやろ。 石川さゆりの「夫婦善哉」もよろしおっせ。 関西にはこういうまったりしたもんがようけおます。 それがうれしおすな。 |