ママでなくてよかったよ―小児がんで逝った8歳 498日間の闘い (朝日文庫) |
壮絶な闘病記。
しかし、強烈な生のエネルギーを感じる。 不倫を乗り越えて結婚し、子供も授かったものの、そこに待っていたのは夫の理不尽なDVだった。 やっとのことで家を飛び出し、夫に悟られないように子供の名前まで改名。 やっと落ち着いたかに見えた生活は、息子が小児がんになったことにより、親子二人の闘病生活に変わっていく。 小学1年生。 まだ6歳。 そんなシゲに母親はがんの告知をする。 たった二人、一心同体で生きてきた母子だからこそできる告知。 そこからシゲは気力を振り絞って治療を続ける。 辛い検査が続き、ぐったり疲れきったシゲを見て母親は号泣する。 そんなときだった。 シゲは点滴につながれた腕を持ち上げ、母親の頭をなでながらこう言うのだ。 「ママでなくてよかったよ」 自分ががんだと知っていて。 読み終えて、何度も何度も自分の娘を抱きしめた。 お願いがひとつだけあります。 パパよりも長生きしてください。 |
遊雲さん父さん―小児がんを生きたわが子との対話 |
この本は、哲学書だ。
しかも、血の流れる生きた哲学書だ。 父と子が真剣に「死んでいくことがどういうことか」に取り組んだ記録。 さらに、遊雲さんが逝かれた後、その記録を読み返しながら、その時の心境を、遊雲さんに語りかけるように、再考する。 真摯に「死」と「生」を考察している姿がスゴイ。 また、お父さんの、難解な思考思索には、凡人は、ついて行けない面も感じるが、同じ事を、遊雲さんは、もっと簡単に、その態度で教えてくれる。遊雲さんのつくった標語「川が好き 川にうつった 空も好き」は、彼の心に映ったこの世界の有り様を実に美しく表現している。 「生死」について、私のスグそばまで踏み込んでくれた本は、これが初めてだ。 |