![]() NHK少年ドラマ・アンソロジーI [DVD] |
時代背景なしに作品はあり得ない、と強く思う今日この頃、改めてこの「タイム・トラベラー(時を駆ける少女)」を思い返してみるに、(1)主人公にとっては時間跳躍でも、周囲の人間にとっては(うまく戻ってこないと)単なるミステリアスな失踪にすぎないこと、(2)未来人と名乗る転校生(「なぞの転校生」もこの異邦人パターン)の名前がケン・ソゴルという無国籍的な名前ということだったが、いかにもチョットだけ日本的な響きを無理して未来の日本だと自分に言い聞かせてきたのだが、非常に朝鮮半島的な響き。 これらの断片から妄想するに、今秋明らかになった表記の事件との関係をささやかれた当時の「なその失踪事件」の多くがこのドラマに与えた影響というのは無視できないと思う。勿論、原作も。当時から事件こそないことになっていたとしてもAMラジオをひねればあのとんでもない内容の隣国の日本語放送が聴けたわけで、その意味で原作が良く時代を反映しているからこそ、リメイクの大林監督、原田知世主演のアレですら、見直せば見直すほどそういう影響を感じずにはおれないのである。 ほんと、突拍子もなくてすみません。 |
![]() 時をかける少女 |
第1に、「時かけ」の本質を生かしたまま、質の高いドラマに仕上がっています。
「時かけ」を脚色したドラマや映画は数多くありますが、この完成度はNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」以来です。 (NHKでの放送当時、小学5年生でしたから明確に記憶してます) 第2にスタッフ、キャストが豪華。 演出は、「パラサイトイブ」「催眠」「感染」の監督、落合正幸、「僕の生きる道」「ウォーターボーイズ(TV)」の佐藤祐市。 脚本は「踊る大走査線」でブレイク直前の君塚良一。ドラマの質が高いのは納得でしょ。 音楽は宮崎、北野両監督御用達の久石譲。ちゃんと久石節が聞けます。 キャストは和子=内田有紀、深町君=袴田吉彦、吾朗ちゃん=河相我聞。 加えて、和子の妹=安室奈美恵、和子の親友同級生=鈴木蘭々、和子のバスケ部のチームメイト=菅野美穂。 他に、森本レオ(和子父)、吉沢京子(和子母)、佐藤B作(福島先生)、森口瑤子(英語教師)、塚本信夫(深町父、MAT初代隊長)、原作者の筒井康隆まで住職役で登場。 これはフジ土8の「僕たちのドラマシリーズ」の最終作、このビデオは全5回を120分に編集した総集編ですが、このドラマの良さは堪能できます。 (福島先生と奥さんのドラマや他の丁寧な描写が味わえる、全長版のDVD発売が待たれますが・・・) 「時をかける少女」ファンと特に「NHK少年ドラマシリーズ」ファンにお勧めします。 |
![]() 時をかける少女 通常版 [DVD] |
私は、この作品が映画化されたときは知らなかったのだが、一昨年TVで放映してたのを観て、それがとても良かった。で、また去年TVで観たが、やっぱり1回目に観たときと同じようにとても良かった。
アニメ作品はそんなに言うほど観てないが(映画化作品では、ジブリ作品と名探偵コナンシリーズ全部、ファースト・ガンダムとエヴァンゲリオン、それとクレヨンしんちゃん「オトナ帝国の逆襲」「戦国大合戦」、あとはルパン三世シリーズをいくつかぐらい。少ないでしょ?)、私にとってはこれらの中ではベスト3だった( あとの2つは「耳をすませば」と「となりのトトロ」)。 とくに切なさではNo.1の作品だね。(映画を観てない人には意外だろうが、同じくらい切ないのがクレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」(笑)。いや、ホントだよ) ちなみに、「声」に不満な人が多いようだが、私はとくに違和感とか不満を感じなかった。っていうか、このレビューを見て初めて、主人公たちが本職の声優でないということを知ったぐらいだ。私が「アニメずれ」してないせいだろうか? |
![]() パプリカ [DVD] |
千年女優、パーフェクトブルーに続いて観ました。
前作と同様に、またしても今監督の描く世界に吸い込まれてしまいました。 夢がテーマなので、難しい用語や表現が多々出てきます。 なので、スッキリしたストーリーが好き、という方には向かないかもしれません。 ですが、前作のような、涙や恐怖は一切出てこないので、安心して観れます。 不思議な爽やかコメディです♪ キャラクターが皆おもしろく、絵も綺麗で、声優さんもよかったです。 そしてやはり、平沢進のエンディング曲、『白虎野』がばっちりあってました! オススメです。 |
![]() 旅のラゴス (新潮文庫) |
旅というのは、人生に役立つ何かを得ることができると同時に、何かを
捨てなければならないものでもある。いろいろな人たちとの出会いと別れ、 さまざまな体験を繰り返すラゴス。そんなラゴスの旅で特に印象に残ったのは、 ボロ村でのできごとだった。ドームの中でひたすら本を読むラゴス。そんな 彼にアドバイスを求める村人たち。ドームの中のラゴス自身は何も変わらない のに、ドームの外の村は急速に変化していく。「人間とはこういうものなのだ。」 作者の声が聞こえてくるような気がした。 求めていたもの。30年たっても変わらず求めていたもの。それが分かったとき、 ラゴスは再び旅に出る。求めているものは得られたのだろうか?笑顔で旅を 終えることができますようにと、願わずにはいられない。人は誰でも、人生という 道を歩く旅人なのかもしれない。この作品を読んでそんなことを感じた。 |
![]() ロートレック荘事件 |
筒井氏によるこの作品は、ミステリーとしてカテゴライズされる。
しかしながら、この場合は懐疑的な姿勢より文学を耽読するような姿勢で臨まれることを推奨する。 総てを理解した後、再び最初から最後まで懐疑的に読むことは非常に有意味な作業だが、まずは素直にゆっくりと読み進めてほしい。 私は当初、本作をミステリーを読む姿勢で臨んだのだが、真相が明らかになるにつれてトリックや謎についてはどうでもよくなってしまった。 心情の機微がひしひしと伝わってくるのだ。特に、典子と二人きりで語りあうシーンは作中最も秀逸なシーンであり切なさに心が痛む。総てを了解した後では一層…… 一字一句がトリックでもあり、文学でもある。この素晴らしさを読んで感じてほしい。 |