crazy3 狼たちの午後(Dog Day Afternoon)
狼たちの午後【字幕版】 [VHS] |
恋人の性転換手術費用をかせぐため、強盗に入り立てこもることになった男とその相棒。おかしくもないから笑えない、緊迫というよりは切実、絶望的結末の予想、それでもアル・パチーノの熱演ぶりにはぐいぐい引っ張られました。はじめは、強盗二人はどこから見ても「ゴッド・ファーザー」のコルレオーネ家の次男フレドと三男マイケル(アル・パチーノとジョン・カザール)にしか見えない・・・話題性あるけど、なんというか残念というか面白いというか変な感じ、ゴッド・ファーザーと時期が近いだけにイメージが先にきてしまって兄弟でこんなチンピラになっちまって・・・と。が!しかし、また改めて見てみると、そうでもない!ストーリーに夢中!アル・パチーノのソニがカリスマ的パフォーマンスと意外な人間性で野次馬の一般市民どころか人質の銀行員まで味方につけてしまう、一見かっこいいようで所詮あわれなワンマンショー。そして、ここまでに至る家庭事情やいきさつなんかがわかってくるとますます悲しい。いつしか私も協力的銀行員の一人に・・・。映画「ソード・フィッシュ」でジョン・トラボルタのセリフにこの「狼たちの午後」の話題がありました。これには意味があるので、両方観るとおもしろいでしょう。 |
狼たちの午後 [VHS] |
邦題「狼たちの午後」は原題に忠実に「犬どもの~」とした方が良かったのに。その方がこの負け犬たちの悪あがきが伝わるでしょうに。アル・パチーノの活きの良い名演が堪能できますが、相棒の危ない神経質男・サルを演じる故・ジョン・カザールの名演がこの作品のキモとなっている。何と言うんでしたっけ? ハイジャック犯と人質達が奇妙な連帯感を持ってしまう心理現象-それが本作ではうまく描かれています。実際の事件がモデルだけにその辺りリアルです。主人公がヤジ馬達に向かって「アテッカ! アテッカ!」と煽り立て、シュプレヒコールが巻き起こるシーンがありますが、これはアッテカ刑務所の暴動事件で、官権の行き過ぎた鎮圧により多くの犠牲が出た実際の事件に由来している。つまり「お前ら権力はまた俺たちをブチ殺したいんだろう!?」と訴えている訳です。ヤジ馬たちが共感するのも何ともアメリカ的。同様に突然の非日常にうかれ高揚する心理を見事に演じる人質役のバイプレイヤーたち、リアルだけにその懸命さが何か可笑しい交渉役の刑事、ラストをしめる刑事役のランス・ヘンリクセンの冷徹な演技も見物。主人公の汗が滲んだシャツ、他のレビュアーが指摘しているが、まさに舌をだらりと出してあえいでいる様な、熱い暑い映画です。 |
狼たちの午後 [DVD] |
1970年代から1980年代前半までのシドニー・ルメット監督の作品は名作の目白押しで、「セルピコ」「オリエント急行殺人事件」「ネットワーク」「プリンス・オブ・シティ」「評決」そしてこの「狼たちの午後」とレベルの高い作品を発表し続けました。本作では場面のほとんどが銀行に限定されているにもかかわらず、最後まで飽きさせません。「十二人の怒れる男」や「オリエント急行殺人事件」でも限られた空間内での演出がさえていました。
またアル・パシーノはどちらかといううとオーバーアクト気味の役者ですが、この作品ではうだるような熱さと、銀行強盗がうまくいかなかったための苛立ちがうまく表現されており、彼のベストアクトでしょう。強盗仲間のジョン・カザールも持ち味を活かしており、命を脅かされている人質に対してタバコの害を説く場面はユーモラスですが、その後、皮肉にも彼自身が若くして肺癌で死去しています。熱血刑事をやらせたら右に出るものはいないチャールズ・ダーニングも熱演しています。 作品的には名作に間違いないのですが、出来ればこの1枚のではなく、吹替え、特典映像付きの2枚組の購入をお勧めします。少し値段が高くても特典映像は充実しているし、吹替えは野沢那智(アル・パシーノ)、岸田森(ジョン・カザール)、富田耕生(チャールズ・ダーニング)です! |
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