三陸海岸大津波 (文春文庫) |
古来、村の古老の教えに間違いは無いと言われてきた。長年の経験に基づく智恵は頼りになると信じられてきた。
しかし、この本を読むとそれが偽りであることがわかる。「津波は冬の晴れた日は来ない」との古老の言葉を信じて死んでいった数万人の人々、その他諸々の言い伝えに騙されて死んでいった無数の人々の叫びがこの本には凝縮している。 著者の主観を排した冷静な視点から書かれたこのドキュメンタリーは読者のこれからの人生の導きともなるかもしれない。自分のカンを信じて他人の雑音を排して突き進もう。 |
奇跡の海三陸 |
養老さんの巻頭文書と本書の内容があまりに離れているのが良い。
「繰り返し」と言うタイトルで「おなじ」「ちがう」という普遍性における多元性あるいは多様性の大切さを書かれている。 さて、本書はまさに三陸の海の豊饒さをこれでもかと写真、絵そしてテキストで埋め尽くしている。 まさに自然の恵みと人間の手入れの技術そして共生のさまである。 生かされている自分を感じ、森が作り出す豊かな海産物、そして生き生きと働く人々がそこにいる。 そこには養老先生が言う脳化した都市もなければ、身体性を失った人々もいないのである。 と言う事はやはり養老先生の巻頭文は的を得ていることになる。 |